「ペニーロイヤルミントを植えてはいけない」という言葉を聞いて、その理由や特徴が気になっていませんか。
グランドカバーや芝生代わりとして人気がある一方で、そのほふく性による増えすぎの問題や、犬・猫などペットへの影響も心配されます。特に、見た目が似ているミントとの見分け方を知らないと、思わぬ危険があるかもしれません。
また、ゴキブリやカメムシへの虫除け効能も期待されますが、地植えと鉢植えのどちらを選ぶべきか、種まきからの育て方や増やし方、そして植える時期など、知っておくべきことは多岐にわたります。万が一のミントテロ対策や、増えすぎた場合の駆除・根絶の方法まで、この記事で詳しく解説していきます。
この記事のポイント
- ペニーロイヤルミントを植えてはいけないと言われる理由
- 安全な育て方とミントテロを防ぐための具体的な対策
- グランドカバーや虫除けとしての正しい活用方法
- ペットへの影響や毒性に関する注意点
ペニーロイヤルミントを植えてはいけないと言われる理由
ポイント
- 植えてはいけない理由となる特徴
- 犬や猫などペットへの危険性
- 見た目が似ているミントとの見分け方
- ほふく性を活かしたグランドカバー
- ミントテロと呼ばれる繁殖力の対策
- 増えすぎ後の駆除と根絶の困難さ
植えてはいけない理由となる特徴
ペニーロイヤルミントを「植えてはいけない」と言われる主な理由は、「強すぎる繁殖力」と「毒性」という2つの特徴にあります。
まず、繁殖力については、他のミント類と同様に非常に旺盛です。地下茎を伸ばして広範囲に広がるため、一度地植えするとコントロールが非常に難しくなります。庭の一角に植えたつもりが、数ヶ月後には芝生や他の植物の領域まで侵食してしまうことも珍しくありません。この驚異的な広がりが、後に解説する「ミントテロ」と呼ばれる問題を引き起こします。
次に、毒性についてです。ペニーロイヤルミントには「プレゴン」という成分が含まれており、これが人や動物に対して毒性を示すことがあります。特に、精油(エッセンシャルオイル)は濃度が高く、誤って摂取したり肌に塗布したりすると、健康被害を引き起こす可能性があるとされています。このため、ペパーミントやスペアミントのようにハーブティーや料理に使うことは絶対にできません。
【植えてはいけない2大理由】
- 制御不能な繁殖力:庭全体を覆い尽くす可能性があり、除去が非常に困難です。
- 毒性の存在:成分「プレゴン」を含み、食用には絶対に適しません。ペットや小さな子供がいる家庭では特に注意が必要です。
これらの特徴を知らずに植えてしまうと、後から「こんなはずではなかった」と後悔するケースが少なくありません。だからこそ、植える前にはその性質を正しく理解し、適切な管理方法を学ぶことが不可欠です。
犬や猫などペットへの危険性
ペニーロイヤルミントは、犬や猫を飼っているご家庭では特に注意が必要な植物です。その理由は、前述の通り、この植物に含まれる「プレゴン」という成分にあります。
このプレゴンは、動物、特に猫のような特定の植物成分の代謝能力が低い動物にとって、肝臓に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。犬や猫が葉をかじったり、遊んでいるうちに誤って口にしてしまったりすると、中毒症状を引き起こすリスクが考えられます。
メモ
安全に楽しむためのポイント
もしペニーロイヤルミントを育てる場合は、ペットが絶対に近づけない場所に置くことが重要です。例えば、ハンギングバスケットで吊るしたり、ペットが入らないベランダや部屋で鉢植え管理をしたりするなどの工夫が求められます。
「ノミ除けになる」という情報からペットの近くで使おうと考える方もいますが、これも大変危険です。乾燥させたハーブをサシェ(香り袋)にして首輪につけるといった使い方は、ペットが舐めてしまう可能性があるため避けるべきでしょう。

万が一、ペットがペニーロイヤルミントを食べてしまい、嘔吐や元気がないなどの異常が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。
見た目が似ているミントとの見分け方
ペニーロイヤルミントの危険性の一つは、スペアミントやペパーミントといった食用のミントと見た目が似ている点にあります。誤って食用にしてしまう事故を防ぐためにも、それぞれの特徴を正確に把握し、見分けることが非常に重要です。
主なミントとの違いを以下の表にまとめました。特に、葉の形や花の付き方に注目すると見分けやすくなります。
種類 | 葉の特徴 | 花の特徴 | 香り | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
ペニーロイヤルミント | 小さく丸みを帯びた卵形。縁の鋸歯(ギザギザ)がはっきりしない。 | 茎の節ごとに、球状に集まって段々に咲く(輪生花序)。色は淡い紫色。 | ミント系だが、より強くスパイシーで独特の香り。 | 食用不可。防虫、観賞用。 |
スペアミント | 葉の表面が縮れている(ちりめん状)。葉先が尖り、鋸歯がはっきりしている。 | 茎の先端に、細長い穂状の花(穂状花序)をつける。色は白や薄いピンク。 | 爽やかで清涼感のある甘い香り。 | 食用(ハーブティー、料理、菓子)。 |
ペパーミント | スペアミントより葉が濃い緑色で、やや光沢がある。葉脈が赤紫色を帯びることがある。 | スペアミントと同様、茎の先端に穂状の花をつける。色は薄紫色が多い。 | メントールの強い、非常にスッとする清涼感の強い香り。 | 食用(ハーブティー、菓子、精油)。 |
メモ
見分けの最重要ポイントは「花の付き方」です。
ペニーロイヤルミントは茎の途中にボンボンのように丸く花が咲きますが、スペアミントやペパーミントは茎のてっぺんに向かってスッと伸びるように咲きます。花が咲いていれば、この違いで確実に見分けることができます。
もしご家庭の庭やプランターにミントがある場合、それがどの種類なのか自信がない場合は、安易に口にしないようにしてください。特に、他人から譲り受けたミントの場合は、必ず種類を確認することが大切です。
ほふく性を活かしたグランドカバー
ペニーロイヤルミントの大きな特徴の一つに、地面を這うように伸びていく「ほふく性」があります。この性質をうまく利用することで、雑草対策や景観作りのためのグランドカバーとして活用できます。
ほふく性のメリット
グランドカバーとして利用するメリットはいくつかあります。
- 雑草抑制効
地面を密に覆うため、他の雑草が生えるスペースを奪い、日当たりを遮ることで雑草の発生を抑える効果が期待できます。 - 景観の向上
細かく可愛らしい葉が一面に広がるため、土が剥き出しの場所を美しい緑のカーペットに変えることができます。 - 踏みつけに強い
多少踏まれても枯れにくい強さを持っています。人が歩くことでミントの爽やかな香りが立ち上るのも魅力の一つです。

グランドカバー利用時の注意点
一方で、このほふく性は諸刃の剣でもあります。その強すぎる繁殖力が、意図しない場所まで広がってしまう原因になるからです。
グランドカバーとして利用する場合は、増えすぎないための対策が必須です。植えたいエリアの周りをレンガやプラスチックの板(根止め)で深さ15cm〜20cmほど囲い、地下茎が外に伸びていかないように物理的にブロックする必要があります。
対策を怠ると、せっかくの庭がペニーロイヤルミントに占領されてしまう可能性があるため、その生命力の強さを理解した上で計画的に利用することが重要です。
ミントテロと呼ばれる繁殖力の対策
「ミントテロ」とは、ミント類の強すぎる繁殖力によって、庭が意図せずミントだらけになってしまう現象を指す園芸愛好家の間での俗称です。ペニーロイヤルミントも、このミントテロを引き起こす代表的な植物の一つです。
この現象の主な原因は、地中を縦横無尽に伸びる地下茎にあります。地上に見える部分を刈り取っても、地中に少しでも地下茎が残っていれば、そこから再び芽を出し、驚くほどの速さで再生してしまうのです。
この恐ろしいミントテロを防ぐためには、植え付けの段階で適切な対策を講じることが何よりも重要です。
メモ
ミントテロを防ぐための3つの基本対策
- 鉢植え・プランターで育てる:最も確実で簡単な方法です。根の広がりを物理的に容器内に限定できます。ただし、鉢底から根が地面に伸びないよう、コンクリートの上などに置く工夫が必要です。
- 地植えの場合は「根止め」を徹底する:どうしても地植えにしたい場合は、専用の根止めシートや板を土中に深さ20cm以上埋め込み、繁殖エリアを完全に区切ります。
- 定期的な剪定と間引き:伸びすぎた茎はこまめに剪定し、密集しすぎた場所は株ごと引き抜いて間引くことで、勢いをコントロールします。
また、花が咲いた後にできる種がこぼれても増える原因になります。花が終わったら早めに花穂ごと切り取る「花がら摘み」を習慣にすることも、意図しない場所への拡散を防ぐ上で効果的です。
これらの対策を講じることで、ペニーロイヤルミントの繁殖力を管理下に置き、その恩恵だけを享受することが可能になります。
増えすぎ後の駆除と根絶の困難さ
もし対策を怠り、ペニーロイヤルミントが増えすぎてしまった場合、その駆除と根絶は非常に困難を極めます。「少し増えすぎたから抜けばいい」という軽い気持ちで対応できる相手ではありません。
その理由は、地中に張り巡らされた地下茎のネットワークにあります。地上部をすべて抜き取ったとしても、土の中に数センチの地下茎のかけらが残っているだけで、そこからいとも簡単に再生してしまいます。この驚異的な再生力が、根絶をほぼ不可能にしている元凶です。
駆除作業の過酷さ
完全に除去するためには、以下のような徹底的な作業が必要となります。
- 土の掘り返し
スコップや鍬で広範囲の土を深く掘り返し、土をふるいにかけて地下茎を一本一本手で取り除くという、途方もない労力が必要です。 - 複数年にわたる作業
一度の作業で完全に取り除くことはほぼ不可能です。取り残した地下茎から再生してくるため、数年にわたって根気強く抜き続ける必要があります。 - 除草剤の使用検討
多くの場合、手作業だけでは限界があり、最終手段として除草剤の使用を検討せざるを得ない状況に追い込まれます。ただし、除草剤は他の植物や土壌にも影響を与えるため、使用には細心の注意が求められます。
隣家の敷地にまで侵入してしまった場合は、ご近所トラブルに発展する可能性も十分に考えられます。
このように、一度手に負えなくなると、その後の代償は計り知れません。「植えてはいけない」と言われる最大の理由は、この駆除の困難さにあると言っても過言ではないでしょう。地植えを検討する際は、このリスクを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
ペニーロイヤルミントを植えてはいけないは誤解?管理法
ポイント
- 地植えと鉢植えでの管理方法の違い
- 芝生代わりにする場合の注意点
- ゴキブリやカメムシへの虫除け効能
- 種まきからの育て方・増やし方・植える時期
- ペニーロイヤルミントを植えてはいけない理由のまとめ
地植えと鉢植えでの管理方法の違い
ペニーロイヤルミントを育てる上で、「地植え」にするか「鉢植え」にするかは、その後の管理の手間を大きく左右する最も重要な選択です。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の目的や管理能力に合った方法を選びましょう。
以下に、両者の違いをまとめました。
比較項目 | 地植え | 鉢植え |
---|---|---|
管理のしやすさ | 難しい。定期的な剪定や根止め内の確認が必須。 | 非常に簡単。移動も容易で、目の届く範囲で管理できる。 |
繁殖リスク | 非常に高い。「ミントテロ」化する危険性が常にある。 | 低い。鉢の中で完結するため、増えすぎる心配がない。 |
水やり | 根付いた後は基本的に不要。 | 土の表面が乾いたらその都度必要。夏場は水切れに注意。 |
メリット | 広範囲のグランドカバーとして利用できる。踏みつけに強く、香りが楽しめる。 | 繁殖を完全にコントロールできる。ペットや子供から隔離しやすい。 |
デメリット | 一度増えると駆除がほぼ不可能。隣家とのトラブルの原因にもなり得る。 | 根詰まりしやすいため、1〜2年に一度の植え替えが必要。広範囲のカバーには向かない。 |

鉢植えであれば、ペニーロイヤルミントの持つ「可愛らしい見た目」や「香り」、「虫除け効果」といった良い面だけを安全に楽しむことができます。
芝生代わりにする場合の注意点
ペニーロイヤルミントは、そのほふく性と踏みつけへの耐性から、芝生の代替となるグランドカバープランツとして注目されることがあります。一面に広がる緑のカーペットは魅力的ですが、芝生と同じ感覚で導入すると、いくつかの問題に直面する可能性があります。
芝生代わりにするメリット
- 手入れが比較的楽:芝生のように頻繁な芝刈りや肥料やりは基本的に不要です。
- 雑草に強い:密に茂るため、雑草が生えにくい環境を作ります。
- 香りを楽しめる:上を歩くたびにミントの爽やかな香りがします。
芝生代わりにする際の注意点
メリットがある一方で、芝生とは異なる以下のような注意点を十分に理解しておく必要があります。
- 冬場の見た目
多くの地域では冬になると地上部が枯れて茶色くなります。常緑性を求める場合はイメージと異なるかもしれません。(温暖な地域では緑を保つこともあります) - 繁殖力の制御
最も注意すべき点です。芝生のようにエリアを決めて植えても、地下茎で境界を越えてどんどん広がります。コンクリートやレンガで完全に囲うなど、厳重な境界設定が不可欠です。 - 開花後の草丈
夏に花が咲く時期になると、花茎が30cm〜40cmほど立ち上がります。低く保ちたい場合は、開花後に切り戻しの手間がかかります。 - 他の植物への影響
繁殖力が強いため、近くに植えている他の草花を駆逐してしまう恐れがあります。

ゴキブリやカメムシへの虫除け効能
ペニーロイヤルミントは、古くから天然の虫除け(忌避剤)として利用されてきた歴史があります。その強い香り成分が、多くの虫にとって不快であるため、虫を寄せ付けにくくする効果が期待されています。
特に、以下のような虫に対して効果があるとされています。
- ゴキブリ
- カメムシ
- アリ
- ノミ
- ハエ
虫除けとしての具体的な使い方
鉢植えのペニーロイヤルミントを、虫の侵入経路になりやすい場所に置くのが効果的です。
- 玄関や勝手口の脇
- ベランダや窓辺
また、収穫した葉を乾燥させてポプリやサシェ(香り袋)を作り、クローゼットや戸棚の中に入れておくのも良い方法です。風通しの良い場所に吊るしておくと、香りが拡散しやすくなります。
虫除け効果の注意点
天然の植物であるため、化学的な殺虫剤や忌避剤のように100%の確実な効果を保証するものではありません。あくまで補助的な対策として捉えるのが良いでしょう。
また、興味深いことに、多くの虫を遠ざける一方で、アブラムシは逆に付きやすい傾向があります。株が弱ると特に被害を受けやすくなるため、もしアブラムシを見つけたら、早めに駆除するか、その部分を刈り取ってしまう必要があります。
ペニーロイヤルミントは虫除けとして役立つ可能性がある一方で、万能ではないという点を理解し、他の防虫対策と組み合わせて利用するのが賢明な使い方です。
種まきからの育て方・増やし方・植える時期
ペニーロイヤルミントは非常に丈夫なハーブなので、育て方自体は難しくありません。ここでは、種まきから日々の管理、そして増やし方まで、基本的な栽培方法を解説します。
植え付け・種まきの時期
苗の植え付けに最適なのは、気候が穏やかな春(3月~5月)か秋(9月~10月)です。真夏や真冬の厳しい時期は避けましょう。
種まきは春から夏にかけて行うことができます。発芽適温が20℃〜25℃なので、暖かくなってからが適期です。種は非常に小さいので、土を深くかぶせすぎないように注意してください。
用土・置き場所
水はけの良い土を好みます。市販のハーブ用培養土を使うのが最も手軽です。地植えの場合は、腐葉土などを混ぜて土を柔らかくしておくと良いでしょう。
日当たりの良い場所を好みますが、半日陰程度でも十分に育ちます。ただし、日照時間が短いと香りが弱くなる傾向があります。
水やり・肥料
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れるくらいたっぷりと水を与えます。特に夏場は水切れしやすいので注意が必要です。
地植えの場合は、根付いてしまえば基本的に水やりの必要はありません。自然の降雨に任せて大丈夫です。
肥料は特に必要ありませんが、鉢植えで葉の色が薄くなってきた場合は、液体肥料を薄めて少量与えると回復します。肥料の与えすぎは香りを損なう原因になるので控えめにしましょう。
増やし方(株分け・挿し芽)
ペニーロイヤルミントは簡単に増やすことができます。
- 株分け:最も簡単な方法です。春か秋に、大きく育った株を掘り上げ、根ごといくつかに分けて植え直します。
- 挿し芽:春から夏にかけて、元気な茎を10cmほど切り、下の葉を取り除いて水に挿しておくと2〜3週間で発根します。根が伸びてきたら土に植え付けます。

ペニーロイヤルミントを植えてはいけない理由のまとめ
最後に、ペニーロイヤルミントを植える前に知っておくべき重要なポイントをまとめます。これらの情報を理解し、適切な管理を行えば、その魅力を安全に楽しむことができるでしょう。
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「植えてはいけない」と言われる主な理由は強すぎる繁殖力と毒性にある
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一度地植えすると地下茎で広がり制御が非常に困難になる
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この繁殖問題は「ミントテロ」と呼ばれ多くの人を悩ませている
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増えすぎた後の駆除や根絶はほぼ不可能に近い
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プレゴンという成分を含み人や動物に毒性を示す可能性がある
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特に猫は代謝能力が低く危険性が高いとされている
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犬や猫がいる家庭ではペットが口にしないよう厳重な管理が必要
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食用ミントと見た目が似ているため誤食に注意が必要
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見分けるポイントは茎の節に丸く咲く花
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ほふく性を活かしてグランドカバーや芝生代わりに利用できる
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ただし厳重な根止め対策をしないと庭全体に侵食する
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管理に自信がない場合は鉢植えでの栽培が最も安全で確実
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ゴキブリやカメムシなどへの虫除け効果が期待できる
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ただしアブラムシは付きやすいので注意する
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丈夫で育てやすく初心者でも栽培は容易だが管理能力が問われる